TEARS【~君色涙~】
「…優衣?」

「……」

「優衣」


しばらくの間どこか上の空でいたものの、この時はっきりと隼人に名前を呼ばれてハッとした。


「!…あっ、ごめん」

「どうした?何か様子変じゃね」

「え、そう?そんな事ないけど。ただちょっとこの問題難しいなって」

「……」

「平気だよ」


そう言って再度勉強に取りかかるも、すぐにそれは隼人の手によって止められてしまった。


「嘘つくなって。思いっきし優衣の顔に書いてあるぞ」

「……」

「何かあったんじゃねーの?俺でいいなら話してみ」



隼人…


声や顔つきは違うけど、今も変わらないその眼差しに、1年だった頃の隼人が重なって見えた。

思わず泣きそうになった私はコク…と頷くと、おそるおそる口を開く。


「…あのね実は今日、クラスの藤原さんとケンカして」

「え、藤原?」

「うん。隼人は藤原さんのこと、どう思ってる……?」
< 381 / 440 >

この作品をシェア

pagetop