TEARS【~君色涙~】
思いきって単刀直入に聞くも、隼人からはやや困惑気味な反応が戻ってきた。


「いきなりどうって…別に、同じクラスメイトとしか思ってねーけど」

「……」


じゃあ私は?

隼人は私の事どう思ってるの――?



隼人の答えを聞いて安堵とすると同時に、不安に駆られそうにもなった。


もしかして私も、今は隼人にとってクラスメイトの一人なんじゃないだろうか。



「んな事よりケンカって…急に何があったんだよ?藤原から何か言われたのか?」


言われたよ。言われたけど


元を辿れば藤原さんも私も
ただ隼人のことが好きなだけだから…



「平気。もう解決した」



また嘘をついた。






帰り際

昨日と同じように図書室をあとにするも、途中どこかバツの悪そうに隼人からこう引き止められた。


「あのさ優衣。言いそびれたけど、明日は放課後残れない」

「え…」

「体育委員の仕事が入ってさ、何時に終わるか分かんねーから先に帰っててほしい」



体育委員……
隼人と同じ委員でもある、藤原さんの顔が浮かぶ。

それでも何も気にしていないように明るく笑ってみせた。


「分かった。じゃあ明日は先に帰るね」

「……」

「委員のお仕事がんばって!」


運動会までの間、隼人が藤原さんと一緒にいる機会が増えるのは正直不安だけど

藤原さんの事はクラスメイトの一人だって言ってたし。



隼人、信じていいんだよね…?
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