TEARS【~君色涙~】
今日はおとなしく先に帰るつもりが、やっぱり二人のことが気になってしまい…


放課後、私は一人図書室に残っていた。

もちろん受験勉強など手につけるはずもなく、今私がハラハラとした様子で見つめているのは窓の向こう。


校庭では、運動会当日での動きを確認しているのだろうか。体育委員である隼人と藤原さんが一緒にいるのが分かる。


今のところ私が心配しているような事はなさそうだけど……



「!」


が、次の瞬間

思わず目を見張ってしまった。


グラウンド内をゆっくり歩いて移動しながら…
なぜか突然転びかけた藤原さんを、側にいた隼人が助けたんだ。


間一髪、前のめりになる藤原さんの腕を掴んで離さない隼人。


とっさの行動とはいえ物理的に急接近した二人を見て、心臓がドクリと音を立てた。



「あはっ、隼人ありがと~♪」

「よく前見ろよな」



このとき私が図書室から見ていることに勘づいていたのか
ふいに振り返った藤原さんと目が合う。


そして唖然とする私を見上げて、フッと笑みを向けてきた。




「……っ」



嫌だ。

やっぱり嫌だよ…


分かっていても見たくない。



運動会なんて来なければいいのに………
< 384 / 440 >

この作品をシェア

pagetop