TEARS【~君色涙~】
「優衣……」
ユカリとみーちゃんにはラインで伝えておいたものの、さすがに痛々しさが浮き彫りに映ったのだろうか。
掛ける言葉を見失った様子の二人に、私はどこかおどけて返してみる。
「や、やだなぁ二人とも。そんな深刻な顔する?
てか生まれて初めて松葉杖持っちゃった。意外と難しいねこれ」
「ねぇ優衣、無理しなくていいんだよ…?」
「ううん、ほんとに無理はしてないんだ。ただこの状態だし、運動会は出られないと思う」
「……」
「中学最後の運動会だったからちょっと悔しいけど…」
床を見下ろしたままポツリとそう呟くと、ユカリがポンと私の肩に手を置いてきた。
「わかった。ムカデ競争、優衣の分まで絶対優勝するから。元気出して!」
「ユカリ……」
「そうそう。とにかく優衣は今自分の怪我を治すことに集中しなね」
と、今度はみーちゃんまでもがヨシヨシと頭を撫でてくれた。
心なしか自分でも弱っているような気がする時こそ、二人の優しさに触れてまた泣きそうになる。
松葉杖を支えて両手が使えないせいもあってか
二人のされるがままでいた時、後ろから呆れるような声がした。
「ふん…ほんと、ばっかみたい。まじで怪我するなんて」