TEARS【~君色涙~】




この日から私と隼人は毎日、放課後一緒に帰った。


帰るときはいつも決まって隼人が
松葉杖で歩く私の荷物を持ってくれて。


運動会の練習に自分だけ参加できず、どこか孤立してしまったような気持ちにもさいなまれる中

隼人といられる放課後の時間が、私にとって大きな励みにもなっていった。





「ごめんな優衣。俺、今日はこのあと委員会行かなきゃなんねーんだ」



それから数週間が過ぎ、運動会本番もあと3日と迫った頃。

図書室へと入るなり、隼人が申し訳なさそうに手を合わせてきた。


隼人の言葉に、私はピタリと立ち止まって顔をあげる。



「委員会…?」

「うん。だから俺の委員会終わるまで、優衣はここで待っててくれね?」

「……」

「一緒に帰ろう」



一瞬、隼人がとっさに藤原さんを助けた日のことを思い出して不安になったものの、私はコク…と頷き返す。


するとそれを見て安心したのか
隼人は私を椅子に座らせてくれると、急いで図書室を飛び出していった。



この時、机にはわざと置いていったのだろうか
無造作に置かれた隼人のカバンが。


それをドキドキした気持ちで見つめながら、私の想いはもう固まりつつあった。



「……」





このあと、終わって帰ってきたら。



隼人に「好き」って

言ってみようかな……
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