TEARS【~君色涙~】
その瞬間、思わず全身の力が抜け
支えていた松葉杖が片方、腕から滑り落ちた。
突然カタン!と廊下で響き渡った音に、「え?」と言う隼人たちの声がする。
「!優衣…」
どうしよう
青ざめてとっさに逃げようとしたのもつかの間
すぐに引き戸がガラッ!と開いて、隼人に見られてしまった。
教室の奥では、あの藤原さんが驚いたように目を見開いている。
「優衣、何で…」
「っご、ごめん…戻ってくるの遅かったから心配になっちゃって…大人しく待ってれば良かったかな」
「……」
「あ、あとこれ隼人のカバン…一緒に持ってきちゃった」
必死に言い訳を思い巡らせた結果、肩にかけていた隼人の荷物を思い出し、慌てて本人へと差し出す。
そして落っことしてしまった松葉杖をなんとか拾い上げると、急いでクルッと背を向けた。
「……ごめん隼人。私、今日は先に帰るね」
「……」
「また明日…」
やっとの思いでそう言って、隼人から逃げるようにこの場を後にしようとする。
「おい優衣、待てよ!」
でも松葉杖のままじゃ簡単にすぐ追い付かれてしまって
あとを追いかけて腕を掴んできた隼人の手を、私はとっさに振りほどいた。
支えていた松葉杖が片方、腕から滑り落ちた。
突然カタン!と廊下で響き渡った音に、「え?」と言う隼人たちの声がする。
「!優衣…」
どうしよう
青ざめてとっさに逃げようとしたのもつかの間
すぐに引き戸がガラッ!と開いて、隼人に見られてしまった。
教室の奥では、あの藤原さんが驚いたように目を見開いている。
「優衣、何で…」
「っご、ごめん…戻ってくるの遅かったから心配になっちゃって…大人しく待ってれば良かったかな」
「……」
「あ、あとこれ隼人のカバン…一緒に持ってきちゃった」
必死に言い訳を思い巡らせた結果、肩にかけていた隼人の荷物を思い出し、慌てて本人へと差し出す。
そして落っことしてしまった松葉杖をなんとか拾い上げると、急いでクルッと背を向けた。
「……ごめん隼人。私、今日は先に帰るね」
「……」
「また明日…」
やっとの思いでそう言って、隼人から逃げるようにこの場を後にしようとする。
「おい優衣、待てよ!」
でも松葉杖のままじゃ簡単にすぐ追い付かれてしまって
あとを追いかけて腕を掴んできた隼人の手を、私はとっさに振りほどいた。