TEARS【~君色涙~】
「…送る」

「え?」

「家まで送る」


そう言うやいなや、弟の手を取って歩き始めた隼人のあとを、私は慌てて追っかける。


「お、送るって隼人…!? ねぇ部活は?!」

「いいよどうせ。
1年はボールすら触らしてもらえねーんだし」

「……」

「別にいいだろ。そんくらい」


ふいに立ち止まって振り向いた隼人が、私をじっと見つめる。


――気付けばこのとき。
さっきまで流れていたはずの涙は乾いていて。


隼人の言葉に、私は小さく頷き返した。



「……うん」

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