TEARS【~君色涙~】
冬休みが終わって、ついに三学期。


こないだまでのお正月気分から一辺、私たち3年は一気に受験モードへと切り替わった。


午前授業にも関わらず、今日も図書室に入り浸って勉強していると、隼人が一時間ほど遅れて入ってきた。


「おかえり隼人。面接の練習どうだった?」

「あ、うん。一応…どんな質問されんのかは色々教えてもらったけど、これでほんとに合格できっかは分かんね」


新年が明けても相変わらず、隼人はまだちょっと心配そう。

今月の下旬、私より一足先に推薦入試を控えている隼人は放課後、先生たちから面接や討論、小論文の指導を受けるようになった。

慣れない面接練習にやや疲れた顔を浮かべながらも、今まで通り一般入試の勉強を始めようとする隼人に、私は「えっ?」と身を乗り出す。


「ねぇ隼人、勉強するの?」

「え、するする。つうか推薦してもらえてもマジで受かるか分かんねーし、合格してもここで勉強は続けるよ」

「……」

「優衣が合格するまで」


と、どこか参考書を捲るついでながらもそう答えてみせた隼人に、私は顔を赤くする。

でもすぐに髪を耳元にかけてごまかすと小さく笑った。


「…うん、ありがとう。隼人」

「……」



あのね、隼人。


もしも本当に、私が東高に合格できたら

最後に隼人から…もらいたい物があるの。


聞いてくれるかな……
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