TEARS【~君色涙~】
「いってぇ…、おい卑怯だろ。こっちは子連れてんだぞ」

「ふん」


ったく、卑怯はどっちよ。

ちょっとでも隼人を見直した自分がバカだった。


一人痛みに悶える隼人なんてお構いなしに、ずんずんと足を踏みしめて先を歩く。

でもそんな私を見て、隼人がポツリとこんな事を言ってきたんだ。


「…けど、今の方がおまえらしくて良いかもな」

「え?」

「つうか、栗原がいつもの栗原じゃねーとなんか…調子狂う」


はい?

よく分からないことを言い出す隼人に、私は顔をしかめる。
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