TEARS【~君色涙~】
「なんで私がいつもの私じゃないと隼人の調子が狂うのよ?」

「知らねーよ。そんなん…俺が知りてぇわ」


質問の答えになってない隼人に私は呆れ返りつつ、

でも何故かしまいには笑いさえ込み上げてきた。


「…なんで笑うんだよ」

「ふふっ、だって…」


だって自分の事なのに。

なんで分かんないの?


ほんと、おかしな隼人。



「…あ、そういえば優太。寝ちゃったね…」

「お、ほんとだ。もうあんま喋って起こさねー方がいいか…」


こんな話をしていたら、弟の優太はいつのまにか隼人の背中で眠っていて。

そんな優太を起こさないよう
私たちはそれっきり家に着くまで、一言もしゃべらずに歩いた。



――でもその沈黙が今は不思議と心地よく感じられたのは、どうしてかな……。
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