TEARS【~君色涙~】



ある日の放課後、私は今日もユカリ達と共に広瀬先輩の応援に来ていた。

太陽の眩しさから手をかざすと
桜の花びらはとうに散り、小さな緑の葉が風に揺れていた5月。


中学に入ってから早くももう、1ヶ月以上が経とうとしていた。



「広瀬先輩、がんばれ~!」


放課後はこうしてほぼ毎日サッカー部の様子を見学するのが日課にはなったのの…
広瀬先輩とはあれから何の進展も起こらないまま。


隣でユカリとみーちゃんが応援に声を張り上げている中

肝心の私は一人どこかぼんやりとした表情で見ていると、ふと視界の端で隼人の姿が目に入った。


「……」


グラウンドのコート外で、
他の1年の部員仲間と一緒にサッカーのリフティング練習をしている様子の隼人。

そんな隼人に気づいたユカリ達がベンチから声をかける。
< 73 / 440 >

この作品をシェア

pagetop