TEARS【~君色涙~】
「隼人~!やっとボール触らしてもらえるようになったんだね~(はぁと)」

「脱☆雑用おめでとう!」


「…二人とも、ばかにしてんだろ」


ユカリ達が笑いつつも手を振る中、ふいに隼人がこっちを見た気がして、私はパッと目をそらす。

でもそう見えたのは気のせいだったのか
隼人はまたすぐに練習に打ち込みはじめた。


「なんだ。隼人も結構サッカー上手いじゃんね」

「優衣は?隼人に何か言わないの?」

「うん…」


隼人とはここ1カ月、どこかぎくしゃくしたまま。

というより私が勝手に避けてるのもあるけど……


そんな事を考えていると、サッカー部はいったん休憩時間になり

応援に来ていた女の子達からここぞとばかりに差し入れを渡されていたり、
話しかけられている様子の先輩。


でもその輪の中に自分も率先して入っていくような勇気もなく、私はただ俯いた。


「……」

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