ピアノを弾く黒猫
「付き合ってくれ、なんて言いません。
優子さんが良いと仰るのなら、今すぐにでも付き合いますけど」
照れた様子もなく、サラリと言ってしまう黒田くん。
あたしはもう沸騰直前だった。
「家までお送りしますよ優子さん。
俺結構強いので、優子さんが襲われそうになっても守りますよ」
あたしは何も答えなかったので、送られることとなった。
家までの短い距離の間に、黒田くんは沢山話してくれた。
だけどあたしは、何も聞いていなかった。
あたしの頭の中は、告白されたことでいっぱいだった。
「優子さん。
告白は、夢でも嘘でもありませんから。
俺の気持ち、しっかり受け取ってくださいね」
「…………」
「優子さん?」
「……あ、何?」
「ボーッとしていたんですか?」
「そ、そうなのかも…アハハ」
「笑い事じゃないですよ。
早めに寝てくださいね?
綺麗な優子さんに、寝不足は似合いませんから」
「それでは!」と言って行ってしまった黒田くん。
あたしは暫く、家の前で放心していた。