ピアノを弾く黒猫
「彼は黒田初夜くん。
この間の奈々恵さんのコンサートの時に会ったの。
その時に渡しそびれた花束を、くれたのよ」
まさか最初あたしを追うストーカーだとは言わなかった。
黒田くん高校生って言っていたから、悪いし?
「やけに親しいみたいだけど」
「黒田くん人懐っこいみたいだからね」
「アイツ絶対、優ちゃんを狙っているよね」
「狙っている?
アハハ、何言うの生島くん。
黒田くんがあたしを狙うわけないじゃん」
黒田くん結構かっこいいからね。
あんなかっこいい人が、あたしを狙うわけない。
「優ちゃん、可愛いんだから。
そんなこと考えていると、すぐに襲われるよ」
真顔でサラリと言う生島くん。
あたしはその場にフリーズした。
え?
か、可愛い?
あたしが?
あたしは毎朝鏡でチェックしてくる自分を、思い浮かべた。