ピアノを弾く黒猫
連弾
講義を終え、あたしは大学を出た。
家に向かって歩いている最中聞こえた、足音。
あたしのものじゃない。
…ストーカー?
あたしはこの間と同じくダッシュして、角を曲がる。
そしてあたしを追いかけてきた人に、足を引っかけた。
この間の黒田くん同様、ソイツは思い切り転んだ。
ストーカーなんてするから、こうなるのよ!
「イテテテ……」
「あ―――ッ!
黒田くん!?」
「ゆ、優子さん!?」
あたしに足をかけられて思い切り転んだのは、黒田くんだった。
前と同じよう鼻を押さえながら、黒田くんは笑う。
「偶然ですねー!」
「偶然って…。
アンタまたあたしのストーカーしていたんでしょ?」
「違いますよぉ!
変な勘違い、しないでもらえますか?
俺、優子さんだと思わなかったんですよ!」
「あたし以外にもストーカーしているの?
今度こそ警察行きね!」
「嫌ですよぉ警察は。
しかも俺、ストーカーしていませんし!」
「じゃあ何で、あたしのこと追いかけたりしたのよ」
「追いかけたんじゃありません。
これ、落としていたんで届けに行ったんですよ」
黒田くんはポケットから、ピンを取り出した。