ピアノを弾く黒猫
「良い?
あなたはただの高校生。
アタシの言う通りにすれば良いのよ」
「……はい」
「そういえば、これあげるわ」
今度暗闇から出てきた手に握られていたのは、細長い箱。
赤いリボンが結ばれていた。
「開けても?」
「良いわよ、勿論。
あなたへのアタシからのプレゼントなんだから」
「ありがとうございます」
俺はリボンを解き箱を開ける。
中に入っていたのは、黒いチェーン。
チェーンの先には、黄色い鈴がついていた。
「これは…?」
「首輪よ。
あなたがアタシの飼い猫って証」
「……飼い猫、ですか」
「ええ。
あの人があの子を諦めるまで、あなたはアタシの飼い猫。
その首輪は、アタシのって証よ」
「…………」
「アタシを裏切ることは許さないわ。
飼い猫は飼い猫のように、主人の言うことを聞きなさい」
「………俺は」
「あら、アタシに意見できるとでも思っているの?
あなたがアタシの言うことに逆らったら、“あの子たち”はどうなるのかしらね」
「やめろッ!」
俺の怒鳴り声が、部屋中に響いた。
この部屋は防音がなっているから、外に聞こえる心配はない。