ピアノを弾く黒猫








「何で黙っちゃうのよ。
黙るのなら最初から言わないでよ。
生島くんは、黒田くんと知り合いなの?」

「僕じゃない」

「え?」

「僕はアイツと知り合いじゃない」

「じゃあ、誰から聞いたのよ」

「…奈々恵さんだよ」




奈々恵さん?

何で奈々恵さんと生島くんが知り合いなの?




「僕、バイオリン奏者を目指しているんだ。
前に教えてくれる先生が、奈々恵さんに会わせてくれたんだ。
それ以来、時々連絡を取っている」




そうなんだ……。




「奈々恵さんが、前に優ちゃんと黒田初夜が一緒にいる所を見たらしい。
それで僕に、優ちゃんに警告をしてほしいと言われたんだ」




奈々恵さん、黒田くんと知り合いなの?

そういえばこの後、丁度奈々恵さんと会う予定がある。

…聞いてみよう。





「ありがとう生島くん。
じゃあ、またね!」

「ちょっ、優ちゃん!?」




あたしは踵を返し、再び歩きだす。

生島くんの声は、届いていなかった。









< 37 / 76 >

この作品をシェア

pagetop