ピアノを弾く黒猫
黒猫
ホールの敷地内を出て、家の方向へ歩いていると。
…後ろから、あたしと同じペースの足音が近づいてくるのに気が付いた。
スタスタとあたしが歩けば、
ヒタヒタと歩く後ろの人物。
タッタッと小走りになれば、
タッタッと小走りになる。
す、ストーカー?
たまたま同じ方向っていうのなら、良い。
だけど、小走りになったら小走りになるか?
普通はならない、普通は。
どうしよう。
このまま後ろの人はついてくるつもりかしら?
だったら、それなりの対処をしないと。
あたしは突然スピードを上げた。
そして走り出す。
後ろの足音も早くなった。
完全に、ストーカーだ、決定。
あたしは急いで角を曲がり、呼吸を整える。
そして角を通り過ぎようとしていたソイツの足に、自分の足を引っかけた。
ソイツは見事に、
すっ転んだ。