ピアノを弾く黒猫
「馬鹿じゃないのアンタ!
ストーカーが行く場所って言ったら、警察でしょ!
何でアンタとデートしなくちゃいけないのよ」
「は?警察!?」
目を丸くして驚くソイツ。
「何で俺が警察行かないといけないんですか!
ストーカーなんてしていませんよ俺」
「しているでしょ!
あたしの後を着いてきてさ。
ストーカーと言わないで、何をストーカーと言うのよ」
「後を着けた!?
た、確かに俺は後をつけました!」
「認めるのね」
「ハイ」
「なら警察よ、行くわよ」
「待ってください優子さん!」
「きゃあ!」
グイッと腕を引かれて、思わずバランスを崩す。
あたしのグラついた体は、ストーカーによって支えられた。
「危なかった…。
優子さん、怪我していませんか?」
「してないわ」
あたしは我に返り、すぐに離れた。
「今助けてくれたでしょ。
それに免じて、警察には突き出さないわ。
今後一切、あたしのストーカーしないこと誓えばね」
ソイツの鼻元に向かって指をさす。