発進受信
気がつけば、帰りのショートホームルーム。

担任の斉藤が教室に入ってくる。

「あー、特に今日は連絡がない、寄り道せずに帰れ、きりーつ」

いつものやる気のない態度。

長年教師をやってきた彼の疲れないスタイルなのだろう。

別に家で勉強するわけでないので教科書等は机の中に入れたままだ。

ショルダーバッグを肩にかけ、席を立つ。

いつもの習慣となった、屋上へと向かう。

屋上のドアを押す。

わずかに抵抗があった。

誰かが押さえつけているような。

力をこめ、ドアを開ける。

乱気流がびゅうびゅうと向かってきた。

風が押さえつけていたのだ。
< 11 / 202 >

この作品をシェア

pagetop