発進受信
六枚目とご飯をおかわりしてから気がついたが、筑那美ちゃんが箸を空中でフラフラさせている。

あまりにぎこちないので、肉をおすそ分けしてみた。

「たんとおあがり、いっぱい食べれば成長するよ」

あっと小さく声を上げた後、肉を眺めている。

眺めていれば肉は突然変異でもするのだろうか。

俺も思わず眺める。

ただひたすらに鍋の前で肉を眺める男女。

まさにシュールレアリズムの世界だった。

「しょうがないなぁ・・・」

肉をポン酢につけて、持ち上げる。

「はい、あーん」

筑那美ちゃんは、はわっと顔を赤くするとおずおずと口を開いた。

小ぶりな口に近づけて。

・・・自分の口に入れる。
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