発進受信
教室を抜け、廊下を歩き、階段を上る。

着いたのは屋上だった。

「えーと、なに?」

人気の無い屋上のフェンスに背中を預けた。

筑那美ちゃんもスカートを抑えながら座った。

熊のバックからピンクの風呂敷を取り出す。

「ああ、マジックを披露したかったのか」

そんなわけなかった。

風呂敷から出されたのはステッキでもトランプでも鳩でもなく、弁当箱だった。

ひとつ、渡される。
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