発進受信
ツインテールで、学校の制服で、熊のバックを背負って、クマのアクセサリーをつけた、
俺の唯一名前を知っている、女の子。

「こんばんわ」

「こんばんわ」

呆気にとられた。

「これから、帰るところだったの」

階段をおりようとする彼女。

その後姿を抱きしめた。

彼女は無言で俺の手を触る。

外野は誰もいない。
< 194 / 202 >

この作品をシェア

pagetop