発進受信
「オッケー」

交渉が成立する。

「それじゃ」

ポケットから紐のついた五円玉を取り出し、宙ぶらりんにする。

こんな事をしなくても俺にはわかるけど、一応それらしい格好をしたほうが良いだろうと
思ったのだ。

女子はその五円玉を見つめる。

彼女の「赤い」電波は友達と駄弁りながらパンを食べているクラスメイトの牧村に向かっ
ていた。

「なるほどね」

牧村を見てみる。

女子はその視線の先を見ると、顔をほんのりと赤くした。

牧村からは「赤い」電波は発せられていない。

「相手は特に気になる人はいない、アタックしても五分五分、もう少し交流した後俺に見
せればある程度わかるよ」

五円玉をしまう。
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