発進受信
『学校来たの、二ヶ月ぶり?』

『そういやいたんだっけ』

そういや、いっつも一番後ろの席が空いていた。

あの娘がその席の主だったのか。

みんなが集中してみている中、気にもしないで自分の席にちょこんと座る。

バッグは熊のぬいぐるみのような可愛らしいものだった。

「なぁ、ほっしー?」

「なにさ?」

「あの娘なんてったっけ?」

「筑那美 命(つくなみ みこと)だよ」

「マジで同学年?」

「うむ、なんでも噂によると時間銀行にたんまり時間を売っているらしい、まったく仏の
道を外れている」

数珠を手に挟んで合掌する。

こいつは坊主を目指している代わり者だ。
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