発進受信
「お前が買える様になるまでとっといてやるよ」

「ほんと?うわー!楽しみ」

「俺がお前の頃はもっといろんな楽しみがあったんだぞ、魚だって川にいた」

「へえー人工魚じゃなくて?」

「そうだ、蛍なんかもいたりしてな、カブトムシやクワガタだって家に飛び込んでくるぐらいだった」

「天然のカブトムシなんてみたことないや」

「第二次世界大戦を経験した爺さんが言ってたよ、『俺たちが命がけで守ろうとした日本はいつからこうなっちまったんだろうね』ってさ」

「深いね、その言葉」

「ああ、だからさ、この店だけは昔のままにしてるんだ」
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