発進受信
涙は出なかった。

ただ、なんの電波も発さなくなった遺体をじっと眺めていた。

あの時、悲しみの電波の乱反射を思い出すと気分が悪くなる。

カレーパンを食べ終えたのでメロンパンの袋を開ける。

甘いパンはデザートと考えている。

あー、ジュースも頼むんだった。

「ほっしー、そのジュース飲まして」

隣の席の北斗に声をかける。

「んー、いいよ」

アロエジュースを受け取る。

苦い。

それがメロンパンと絶妙に合っていた。

まぁ、こんな感じで深く考えず、その時その時を生きていた。

だって、人間ってそんなもんだろ。
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