また、君に会いたい
それから月日が経ち、俺は大学を卒業し、不動産会社に就職をした。

高橋 櫂(たかはし かい) 26歳

社会人になって五度目の春を迎える。


俺は彼女別れてから、付き合った女の子もいたけど、その彼女以上に好きになる人は出来なかった。

そんな俺だけど、最近……

いや、ここ数年、気になる事がある。


それは――…


会社の最寄駅の改札を出ると、目の前に大きな桜の木がある。

慌ただしく人が行き交う朝のラッシュ時。

その桜の木を、じっと見つめる一人の女の人。

見た目は大学生か大学を卒業したてくらいの、可愛らしい女の人。

その女の人は、ここ数年、桜が咲いている期間、毎日、何故か悲しそうな……、そして、寂しそうな表情で、その桜の木を見つめていた。


今日もいる……


俺は、いつもそんな風にしか思っていなかった。


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