また、君に会いたい
次の日――…


俺はあの後もずっと、桜の木を見つめ涙を流す女の人の事が頭から離れなかった。


なんで、こんなに気になるんだろう……

知り合いでもないのに。


俺はそんな事を考えながら、いつものように改札を出る。

そして、俺は自然と桜の木の方に視線を向ける。

だけど、そこには桜の木を見つめる女の人の姿はなかった。


あっ、今日はいない……


その瞬間、俺は少し寂しく思った。

別に、会う約束をしていたわけではない。

だから、ここに来ようが来まいが、あの女の人の自由だ。

だけど……


なんで、俺、こんなに寂しいんだ?

まさか……、な?


今まで一目惚れをした事はない。

俺は、いつも相手の性格などを知ってから好きになる。


なのに、なんでこんなに気になるんだろう……


それから、あの女の人が桜の木の下にいる事はなかった。

だけど、毎朝、俺はそこを通る度に桜の木を見るのが日課になっていた。

あの女の人がまたそこにいるんじゃないかって。


はぁ、俺、何やってんだろう……


そうは思うけど、だけど、俺の頭の中から消えないんだ。

あの女の人の涙が……


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