また、君に会いたい
あの女の人に声を掛けたのは桜が咲き始めた頃。

それから数日が経つ。


今は、桜も散り始めてきている。

そして、やっぱり今日も俺は桜の木の方を見た。


「あっ、あの……」


えっ?


振り返ると、そこには俺がずっと気になっていた、あの女の人が。


「あの……、ハンカチありがとうございました。それと、お返しするのが遅くなってすみません」


そう言って、俺にハンカチを返し、その女の人はお辞儀をして


「それじゃぁ……」


と言って、この場を去ろうとした。


「ちょっ……、待って!」


だけど、俺は、無意識にその女の人の腕を掴んでいた。


「えっ!?」


俺に腕を掴まれたその女の人は、驚いた表情で俺を見る。


「あの……、もし予定がなかったら、今日の夜、お食事にでも行きませんか?」

「えっ?えっと……」


困っているその女の人に


「俺……、あの日から、君の事が気になって……」


俺の口は自然と動いていた。


< 5 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop