また、君に会いたい
ほぼ初対面の俺達。

お酒を飲みながら、お互いの事を話していた。

そしたら、野中さんは俺より一つ年上だって事を知った。


「えっ!?ごめん……。俺、もっと下だと思ってた……」


俺が驚いていると


「大丈夫だよ?いつも下に見られるから」


野中さんはにこっと笑う。

そして、お酒もいい感じに入ってきた俺達。


「ねぇ……、聞いてもいい?」

「何?」


俺は、気になっていた事を口にした。


「なんで、いつもあの桜の木を見ていたの?なんで……」


俺達が初めて会話を交わしたあの日。

泣いていた彼女。

その事に触れていいか迷った俺は言葉を濁す。


「あぁ、その事ね……」


だけど、俺が何を聞きたいのかわかった彼女。

さっきまで笑顔だった野中さんだけど、少し悲しそうな表情をした。

触れられたくない話だったのかもしれない。

いや、あの日、涙を流していたのだから、触れられたくはないだろう。

だけど、俺はずっと気になっていた。

ずっと、頭の中から消えなかった。

そして、


出来る事なら、俺がなんとかしたい


そう思った。

だけど……


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