満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
『おかえりなさい』
「あぁ、ただいま」
やっぱり元気ない…
「風呂入ってくる」
なんだろ……なんか臭いが…
……消毒くさいのと…鉄くさいかも。
康太の後を追いかけバスルームに入ると
康太は肩と腕に怪我をしていた
『……康太…』
私に気がついた康太は
バツ悪そうな顔をして
「あぁ…大丈夫だ」
大丈夫だって、確かに包帯してあるけど…
『…康太……。…私が洗うよ』
『だって、洗いにくいでしょ?』
「結衣……」
『あ、洗うのは上半身だけ……あとは自分で洗ってくださいね……パンツは履いててくださいね』
私が腕まくりをしていると
康太はやっと笑ってくれた。
浴室に入り、康太の痛々しい傷を避けながら洗う。
『染みたら…ごめんね』
「あぁ、大丈夫だ」
『怪我が治るまで、毎日洗ってあげる』
「ふっ……毎日怪我してくるぞ?」
『それは困る……こんな姿……あまり見たくないよ……』
傷ついている康太の身体…それを見るだけで泣きそうなのに……泣いたらダメ。
私は耐えられなくて
康太を洗っている手が止まってしまう。