満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「結衣…」
ドアの向こうから康太の声がした。
私はドアを開けようと手をかけたが
開けることができず
『……康太』
「1週間以内……いや、数日で抗争が収まると思う…もしかしたら、今日以上の怪我もするかもしれねぇ…」
「…それに耐えらんねぇなら、今のうち帰れ……二度と戻ってくるな」
『……こう…た』
戻ってくるな…それは
もう二度と会えないってこと。
私たち……別れるってこと……
「……明日から…とうぶん帰らねぇ、あとは結衣に任せる」
とうぶん……
私はドアを開けた。
もしかしたら、二度と康太に会えないのかもしれない……
「……結衣」
康太を見ると
いつもの優しい顔。
『こっ…こう…たっ』
私は康太に抱きついた
康太も私を抱きしめてくれる。
「キツイこと言ってごめん」
「けど、結衣が悲しい思いさせたくねぇんだ…」
「結衣にはいつも笑っててほしい」
『…っ。なら、そんなこと…言わないで』
『私は…康太といれたら…幸せなの』
笑って康太を見ると
いつものように、フッて笑って
私にキスをする。