満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
何も変わらない朝。
康太を起こして、朝ごはんを食べて
康太が着替えて
桜田さんが迎えに来て…見送る。
「結衣……寂しかったら家に…」
家に帰れ…とでも言いたいんだ
けど私は康太の言葉に被せて
『麻衣子もいるし、問題ない』
『康太が帰ってこないってことは桜田さんも帰ってこれないわけでしょ?なら二人でずっと女子会してるから、大丈夫』
そう言うと康太の口元が笑ってくれた
「麻衣子に結衣のベッド貸してやれ」
『私のベッドに二人で寝るもん』
「……許す…」
許すってなによ…
私と康太のやり取りを微笑ましく見てる桜田さんに
『麻衣子を、少しの間お借りしますね』
そう言うと桜田さんは深々と頭を下げて
「よろしくお願い致します」
『や、やめてください!』
『お二人の帰宅を待ってます』
『気をつけて、いってらっしゃい』
そう言って、手を振り送り出す。
ドアが閉まり……部屋は静まり返った。
エレベーターの音が聞こえた。
とうぶん……会えないんだ…
落ち込みそうになった時
ガチャ
ドアが開いた。
『…康太?どうしたの、忘れ物?』
「あぁ、忘れた」
そう言って、私にキスをする。
毎日欠かさずのキスを今日は忘れてしまっていた。
『…っ、忘れてたね、ごめん』
『いってらっしゃい』
笑顔で見送ると、康太は笑って行ってしまった。