満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「結衣とお泊まりなんて久しぶりだわ」
麻衣子も私も寂しさを隠しながら
なるべく明るく振舞っている。
けど、お互い触れられたくない。
どちらかが、その話に触れたら
崩れてしまうんじゃないかって…。
『ねぇ…今日、二人でお風呂入ろうか』
「え?なんか…エロくない?」
二人で騒いでいる。
これでいいんだ。
二人で私のベッドで寝る
二人で手を繋いで…
寂しくないよ……
大丈夫。
大丈夫だから……。
康太が帰ってこなくなってから
4日が経っていた……。
携帯は鳴らない。
私からもかけない……。
麻衣子の携帯が一度だけなった。
麻衣子のお母さん……陽子さんからだった。
陽子さんも本家に缶詰らしく
組長である、おとうさんも帰ってきていなく、多分、事務所にいるんだと話をした。
もう少しで終わる……
もう少しで帰ってくる。
ピンホール…
インターホンが鳴る。
この部屋のインターホンを鳴らすのは
桜田さん以外、今までいない。
けど、桜田さんが帰ってくるなら康太も一緒だから鳴らさないはず…
私は玄関に行ったが、どうしようか迷っていたら
「桜田です」
その声に私はドアを開けた。