満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜


電話を切って1時間後
桜田さんが迎えに来た。


「麻衣子は待っていなさい」
「結衣様…いきましょうか」

私は頷き、桜田さんの後へ続いた。


桜田さんは何も話さず
私を車に乗せ走り出す。


少し走り、赤信号で停まっていた

「……結衣様」

『……はい』


「黙っていたこと、お許しください」
「どうしても伝えることが出来ずにいました」

『……大丈夫です』


車は走り出す。


康太……早く会いたい。



車が停まった所は病院
少し古びた病院だった


「うちの組の専属医です」

私は車を降り、桜田さんの後へ続く。
病院の前、病院の中には
組員の人たちがいる。

「お疲れ様です!」

その声に軽く頭を下げる。


「こちらです」

桜田さんが立ち止まったのは
特別室


「どうぞ」

そう言ってドアを開けてくれる
私は恐る恐る病室へ入る


そこには康太がいた。
酸素マスクをしている康太には幾つもの管がつながれていて
機械も付けられている


ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…


私は康太に近づき
震える手で康太の頬に手を当てる

『…あったかい…』

康太は生きている…
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