満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
朝を迎えても
変わらず機械や管がつながれている康太
『康太……』
この状況が私の知らない2週間続いていたなんて……
教えてくれなかったとはいえ、
もっと…もっと聞けば良かったのかも
けど、知ったところで
私になにができるの……
私に何が……。
「もしかして…康太くんの大切な方かな?」
私に話しかけてきたのは白衣を来たおじいさんだった。
『…先生』
「康太くん、毎日回復に向かってるんだよ」
『…康太は……いつ意識が戻るんでしょうか……』
「……そうだな…難しいね」
『康太が…何年もかかることも?』
「そうだね…もしかしたら……」
「辛いことを言うけど、意識が戻るまで待つか……どっちかなんだ」
どっちか……
もう一つの選択は
康太がこの世からいなくなること…
「けど……康介はそれを望まん」
このまま……目を覚ますのを待つ選択。
「ここ数ヶ月の康太くん、目が優しくなった」
「康太くんに聞いたんだ……そしたら「初めて大事に想える相手が見つかった」って言って笑っててね……」
「こんな風になる前に治療した時に康太くんの様子が気になって聞いたんだ…「大事な奴がいるだけで今まで感じた事ない恐怖を感じる」って……」
「自分にもし何かがあったら、貴方が一人になるんじゃないか…辛い思いをさせてしまうんじゃないかって……」
「「自分が居ない方がいいんじゃないか」ってね……あんな康太くん初めて見たよ…」
「僕はそんな康太くんを見れて、嬉しかったよ……人らしいって。貴方には感謝してますよ」