満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「今はまだ……けどね……」
けど……
これから康太とずっと一緒に居るなら
将来のこと……少し先を見て
自分の進むべき道を考えないと…
私が出来ること……
康太と一緒に生きていくために
私に何ができるんだろう……
私は康太の手を握りしめたまま
何日も考えた
「結衣様、一度マンションへ戻りましょう」
桜田さんがかける声
私は答えが出るまで病院にいた。
酸素マスクが取れ、
管も数本外されている。
けど、康太が目を開けることはない。
康太が生きているという機械音だけ。
「結衣ちゃん」
その声は…小百合さん。
「マンションに戻ってないんでしょ?ご飯もまともに食べてないんでしょ……一度、帰りましょう」
『小百合さん…』
『……今から頑張れば…私も医者になれますか』
私が考えた
康太と生きていくために
私が出来ることだった。
「結衣ちゃん……」
『康太が……また普通に暮らせるようになって……また…怪我したら……私が治してあげたいんです』
『私……あの時…康太の傷を見て泣くことしかできなかった……康太はそんな私に辛いなら家に帰れって……私……強くなりたい、強くなって少しでも長く…康太の側にいたいんです』
本当にこれでいいのか不安だけど
今の私にはこれしか考えられない。