満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「…わかった、結衣の好きにしなさい」
そう言ってお父さんは席をたった。
『桜田さん……あのマンションも使いません……あそこは康太のマンション……康太との思い出がありすぎて、一人で住むには……ちょっと辛すぎます』
「……それでは、お部屋をご用意…」
『桜田さん……康太のお父さんにもお伝えください……私が医者になるまで待っていてほしいって』
「結衣様……」
『康太の事、よろしくお願いします』
医者になるまで
康太に会わない……
会えば、多分……
私は康太から離れたくなくなる。
それじゃ、ダメなんだ。
私は決めたから……。
『桜田さんとも……少しの間、お別れです』
『桜田さん……今までありがとうございました』
「結衣様……私こそ、ありがとうございます……結衣様がお戻りになるのをお待ちしております」
『……麻衣子にも会えなくなります……麻衣子とお幸せに』
「……わかりました。もし、何かあれば連絡してください」
桜田さんは最後まで優しいんだ。