満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜

私は桜田さんにお願いをした。


もし、康太が目を覚ましても連絡はしないでほしい……それを知ったら私なら医者になるより、康太を選ぶだろう。

万が一、康太がこの世からいなくなってしまう場合でも……知らせないでと。


そして、康太が目を覚まして
私を探そうとしたら……止めてください

私が医者になってから
私から康太に会いに行くから
それまで待っててほしい……。


康太なら無理に探してしまうかもしれないけど、私が夢を叶えるまで……
遠くから見守って欲しいんだ。


「結衣様……若はわかってくれます」

『そうだといいですが』


桜田さんはまた少しお父さんと話をして帰っていった。


私はお父さんの部屋をノックし

『お父さん……ごめんね』

お父さんの顔を見ることができない
見て話したら泣いちゃうかもしれない。

「結衣……自分で決めたことは、きちんとやり遂げなさい……須藤くんのためにも、結衣自身のためにもだ」


『うん……』

お父さんが部屋からでてきて
私にある物を渡してきた

『これって……』

私の名前が書いてある通帳と印鑑
中を見ると、凄い金額だった


「須藤くんが借金の返済の他に……これからの生活の足しにして欲しいと渡してくれたお金だ……断ったんだ……そしたら須藤くん「結納金だと思ってください」って……お父さんたちは今の生活でやっていけるから……」

康太がそんなことを……
結納金だって……
あの時からそんなこと考えてたんだ

やっぱり、離れられない運命なんだね。
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