満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
久々の休み……
私は部屋の片付けをしていた。
必要なものはトランクへ。
いらないものは捨てる。
このアパートも今日で終わり。
私は、9年ぶりに
康太のマンションのカードキーを取り出していた。
これを使う日がくるなんて……
しかも……康太に連絡しないで帰る。
怒るかな……
女がいたらどうしよう……
そんなことを考えながら
夕方にはアパートを引き払い
トランクを持ち、康太のマンションへ向かった。
康太の部屋は……電気がついてない。
少しだけホッとした。
……使えるよね…これ。
カードキーを指す
ピピッ
マンションの玄関が開いた。
マンションのエントラスも懐かしい。
エレベーターに乗り
最上階に着く
カードキーでドアを開ける。
夕陽で部屋が赤くそめられていた。
『……ただいま……ん?お邪魔します?……いや、ただいまだ』
独り言を言ってリビングへ行く。
何も変わってない……
トランクを置き、部屋を見て回る。
キッチンもあのまま……
『……私のカップ…』
私が使っていた部屋を開けると
当時のまま……
置いていった物もそのまま……
私は康太の部屋を開ける
康太の仕事場……仕事の資料が散乱している。
『康太らしい……』
そして……寝室のドアを開ける。