満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「結衣先生、医院長が呼んでましたよ」
『あ、ありがとう』
急患の処置が終わり
少し休もうと思ったのに……
呼び出しか……
コンコン……
『結衣です』
「入りなさい」
医院長である東和先生
『何か御用ですか?』
「うん、どうですか?もう1年過ぎましたね……」
『はい……激務ですね』
そう答えると苦笑いをする東和先生
「明日から3名の方が着任します」
3名も?そんなに必要かな?
「結衣先生が来てから、今まで助けられなかった患者さんを助けられることが多くなりました、感謝しています」
「少し、結衣先生に負担をかけ過ぎましたね……」
『いいえ……毎日学ぶものが多くて勉強になります』
「結衣先生は真面目だね……それが自分をダメにしてしまうこともあるよ」
私は穏やかな顔をして話す東和先生を見る
「……僕も昔……患者さんの死と向き合うことが出来ず、お酒に頼ったりしていた時期があったよ……だから悪いわけじゃない……」
私はハッとする……
何で知っているのかと
一瞬、康太に聞いたのかと思ったが
「康太くんじゃない……狩野くんが心配していたよ」
狩野さん……知り合いなんだ
「狩野くん、あれでも医者だったんだ……責任感の強い人でね……」
「狩野くんは自分みたいになって欲しくないって……」