満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜

翔平さんに院内を案内され
明日からの仕事について説明された。

ベテラン看護師さんが2人いることも初めて聞いた。


「小百合はもうここにいないんだ」

『え?…いないって…』

もしかして離婚とか……


「あ、勘違いした?ほら、この仕事してたら何かあっても患者さん優先になっちゃうから……それに高齢出産だから、念のために里帰りしてる」


『あ、そっか。里帰り……本家にですか?』

「ううん、流石にそれは無理な話だから、僕の実家にね。僕の母は助産師さんなんだ」
「近所だから、検診は来るよ」


『そうなんですか、私……小百合さんが妊婦だなんて知らなかった……すみません……康太、何も言ってくれなかったな』


「忙しい結衣ちゃんに伝えたら、何が何でも会いに来るでしょ?康太くんは結衣ちゃんの身体が心配だったから……」


それでも言って欲しかったな……
帰ったら康太に言ってやろう。


「東和病院と違って、うちは救急もないし、呼び出しもない。時間内に来た患者さんを診る……物足りなさを感じちゃうかもしれないけどね」

「……けど、ここは患者さんと話すことは多い、それを大事にしてほしい」


患者さんと話す?
普通に話すと違うのかな……
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