満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜


「結衣先生、もう少し患者さんと向き合ってあげて」


「患者さんに親身になって」


「結衣先生はサバサバし過ぎ」

「もっと笑顔で」


毎日、ベテラン看護師さんが私に注意をしてくるんだ。

働いてたった5日なのに……。


向き合うって何?
親身になってるよ……


私の頭はベテラン看護師さんの言葉がループしていた。


「おかえり」


『……ただいま…』


仕事が慣れるまでと言って
私より早く帰宅する康太。

「またベテランさんに言われたのか?」


『サバサバだって……』


早く帰ってこれるし
康太とも会話が成り立つ
けど、毎日ベテラン看護師さんにやられて帰ってくる私を楽しそうに見る康太にイラつく……


『……お風呂入ってくる』


康太が何か言ってたけど
気にせずバスルームへ行き服を脱いだ

浴槽に入り今日の反省をする


あの患者さんは……
あの子供は……
あの妊婦さんは……


今日の患者さんの事を考えていたら
少しひっかかった

ベテラン看護師さんにしても
翔平先生にしても
名前で呼んでる……


『やっぱり名前で呼んだら、距離縮まるかな……』


「自分に置き換えてみたら?」

康太が浴槽に入りながら話す
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