満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜


お昼休み……


「結衣ちゃん、コーヒーでいい?」


『あ、はい。ありがとうございます』

「翔平、私、紅茶」


今日は小百合さんが検診だったから
お昼も一緒に食べようとなり
翔平さんが作ってくれる


「良かったわ、結衣ちゃんにお願いして」


『いえ…毎日勉強ばかりで、全く使い物にならないです』


「うふふ、慣れよ……私だって元々救急だったから」

『え?そうなんですか、どうして救急をやめられたんですか?』


小百合さんは……
私と似たような考えだったと言う
女に生まれたばっかりに
親の手伝いすら出来ない、なのに狙われることもある理不尽さ
だから、何か手伝いたくて医者を目指し救急に入った。

祖父の病院は組とは全く関係なく、今みたいに内科と小児と産科だったため、興味がなかったけど、小百合さんが子宮筋腫になり、この病院に通うことになったのがキッカケという。

そして、翔平さんとの出会いも……
翔平さんはここに勤務していた医師

「お爺様に言われたの……将来、子供が欲しいなら、救急をやめなさいって……ほら、激務だから身体に負担かかるし、排卵もないって……色々考えて、治療に専念したの」

「翔平は何もかも知っていて、一緒に頑張ろうって言ってくれたから……」

「妊娠もね……諦めてたの。けど、翔平が励ましてくれて……3年、不妊治療してやっと……」


そんなことがあったなんて
全く知らなかった……

小百合さんもだけど…
翔平さんは凄いな……

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