満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
ついた旅館は山の中
「須藤様、お待ちしておりました」
「女将、急に悪いな……」
「いいえ、またお会いできるなんて…あら?お連れの方は?」
「あぁ、俺の婚約者」
「あら、まあ、可愛らしい…」
部屋へ案内されると
景色も良く、和洋室で部屋風呂もあり
申し分のない部屋だった
桜田さんたちは向かい側の部屋
「何かあれば、いつでも言ってください……それでは……」
康太と二人っきり……
少しだけ気まずい
康太は多分、晃先生に聞いてるんだろう
私が全ての記憶を取り戻したことを。
『すぐ、ご飯の時間だね……』
「あぁ、飯食ったら風呂入るか」
『うん……眺めいいね……』
康太の顔をちゃんと見れない……
別にやましいことなんてないのに…
私は外を眺めていた。
今日のカウンセリングを思い出しながら……料理が運ばれていることも全く気がつかなかった。
「…結衣?」
康太の声と同時に康太の手が肩に触れる
『えっ?何?』
「飯……」
『あっ、ごめん。気づかなかった』
私は苦笑いしながら席につく。