満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜


『ねぇ……私と康太が結婚したら、私は仕事を辞めなきゃダメだよね?』


私の髪の毛を乾かしている康太は
鏡越しにチラッと私を見て答えた


「……命を狙われることもあるかもしれねぇ。東和先生のとこに居たら、絶対じゃねぇが安全だけど……俺はあそこに戻ってほしくねぇ……」

「姉のトコなら送り迎えと護衛がつく」


『そうなんだ……』

それでも、いつかは医者をやめて
康太を支えていかなきゃならないんだろう。

「それに……いつかは本家に戻らないといけない……親父の後を継ぐからな」


『……組長さんになるの?なんか想像つかないな……ってことは、私は姐さんだ』

そんな自分も想像つかなくて笑ってしまう


「変な想像してんなよ……飲むか?」

康太は私にビールを渡してくれる


私は自分が麻衣子のお母さんみたいな感じには、どうしても無理だと康太と笑いながら話す。

いつか、なるであろうことを妄想しながら……康太も私の妄想に付き合ってくれて、康太も笑ってくれる。
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