満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「…あれから10年か……顔をあげてください、10年前に結衣を須藤くんにお願いしたのは私達です、あの時に嫁に出したつもりでいたけど……いざ言われると……」
お父さん……
お父さんを見ていると涙が出る。
「……結衣をよろしく…お願いします」
お父さんとお母さんが頭を下げている
「ありがとうございます」
康太もそう言い頭を下げるから
私も慌てて頭を下げる。
どちらから頭をあげるわけでなく
数分経ったくらいで康太が口を開く
「ひとつ、いいですか?」
みんなが頭をあげ、康太を見る
「これからは家族になりますので…もうご返済は結構です……」
返済?
もしかして……
康太のスーツを掴む
「……この10年、毎月欠かさず返済してるんだ……必要ないって言っても必ず。結衣を金で売ったってしたくないって…」
康太の話にお父さんを見る
「……こっちの都合で結衣の気持ちを無視して須藤くんに結衣をお願いして……自己満足に過ぎないけどな…」
お父さんは苦笑いしていた
あの頃……親に売られた感があった
だからかな?実家に寄り付かなかったのも……けど、お父さんがそんな風に思ってたなんて……
『お父さん……ごめん、私……』
お父さんは私が何を言いたいかわかったみたいだけどにこやかに見てくれる