満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
「若、着きました」
桜田さんの声に反応する
久しぶりに来る本家。
「お疲れ様ですっ!」
組員さんが挨拶をする
やっぱり慣れない。
慣れないけど
『こんにちは』
そう挨拶すれば
康太が舌打ちして、
私が挨拶した組員さんを睨みつける
あ……やっちまった。
『ごめんなさい』
小声でいい、康太の腕に絡みつく
康太の機嫌はすぐ直ってくれるけど
この嫉妬……どうにかしてほしい
そんな私たちを後ろから歩く桜田さんは笑って見てる
「お帰りなさい、若、結衣様……組長がお待ちです」
組員さんは案内をしてくれる
あれ?私のこと知ってるんだ、この人。
「……結衣さんに治療してもらった組員は結構いますから」
桜田さんが教えてくれる。
そうなんだ。
東和病院に居た時は
忙しい毎日だったから
患者さん覚えてらんなかったからな…
退院したら、忘れちゃうの……
ダメね……過去の私は。
「親父、入るぞ」
康太はドアを開ける。