満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
訪問者
それから間もなくして
小百合さんは女の子を出産した。
テラスでいつものようにお茶をしていたら破水してしまった
『翔平さん…呼びますね』
翔平さんは午前の最後の患者さんを診ていた。
私が小百合さんの元から離れようとしたら、小百合さんが腕を掴んで
「結衣ちゃん…結衣ちゃんにお願いするわ……翔平には、言ってあるから…」
えっ……だって……
私がオロオロしていると
「これから……康太と家族を作るなら……医者として……お産をお願いしたいの……」
小百合さん……
私は小百合さんの肩を抱き
『行きますよ……けど、翔平さんには来ていただかないとダメですから』
私は小百合さんと分娩室へ向かった
小百合さんに点滴をし、
翔平さんに説明をしに行こうとすると
「結衣、上りか?」
ん?康太の声
あ……今日は康太が迎えに来てくれる約束してたんだった
『あ…ごめん、上がれない、小百合さん……これからだから』
私の言葉を理解してくれて
康太はリビングで待つと言ってくれた。